「何故か気付けば3位フィニッシュ」
僕の今季の順位に対する印象はこんな微妙なものになった。
リーグ再開後、レスターとチェルシーが思った以上に勝ち点を落として順位を譲ってくれた面が強いので「気付いたら」になってしまったのだ。
この順位を「最近の成績や前半戦の体たらくから考えたら立派」と考える人も、「過去の栄光と比べれば全然」と考える人も両方いるとは思うが、
個人的には勝ち点66という数字を考えると順位は運が良かっただけに過ぎず、やはり内容通り改善の余地が大いにあるというのは否めないと思う。
じゃあ、どのポジションを補強して改善をすれば良いのか。
変則的な日程となったELがまだ残っているとはいえ、リーグ戦が終わったことで話題は移籍市場に移行している。
今夏の移籍市場はコロナ禍による財政的なダメージを考えると補強予算が減ると予想され、補強ポイントの「取捨選択」はより重要なものになってくる。
今回は「スールシャールからの評価」を表す指標とも言える出場時間数に注目して今夏の補強、またその先のプランについて考えていけたらなと思う。
一応昨季の出場時間は
redwing777.hatenablog.com
に貼ってあるので興味ある人は比較しつつ見て頂けたらなと。
ではでは本題に入りたいと思う。
今季のリーグ戦における出場時間数、そして出場時間数と年齢の散布図
次にリーグ戦とカップ戦(ELは現時点7月末終了時までのデータ)における出場時間数、そして出場時間数と年齢の散布図
まずは全体的に見ていきたいと思う。
リーグ戦はデヘアとマグワイアが全試合フル出場、リンデロフとAWBも9割近くの出場率となっており、守備陣の高い出場率が目立つ。
またリーグ戦、フルシーズンのどちらを見ても分かるのはスタメンに入ることのあった選手とそうでなかった選手の差が激しいということ。
これは選手層が薄いだけでなく、スタメンや途中投入のメンバーが固定されているということを表していて、ここからスールシャールがローテーションや選手交代を苦手としているということが分かる。
特にリーグ戦はメンバーの固定が顕著で、出場時間数上位11人で綺麗にスタメンが組めるというなかなか珍しいと思われる現象が起きている。
本来準レギュラーを期待されているはずのバイリーやトゥアンゼベ、ダロトでさえ怪我の影響が大きいとはいえカップ戦ほどリーグ戦では起用されておらず、スタメンを固定化するスールシャールのスタイルを考えたとしてもスタメンを脅かすほどの存在にはなれていない、と言えるだろう。
マティッチやポグバ、フェルナンデス、グリーンウッドがシーズン後半になって出場時間を伸ばしたことを考えると、主力グループとそうでない選手グループの差はより広がり、この差は大きな問題だということがよりハッキリとしたものに。
ユナイテッドファンの間では"Quality squad depth"を求める声が多いが、主力組と控え組にここまで大きな差が開いてしまうと主力選手が怪我で離脱した場合や疲労でパフォーマンスが落ちてきた場合に穴が埋められず、またチーム内競争も不足するため選手を十分に成長させることが出来ないということが予想出来る。
実際、主力の長期離脱や勤続疲労という現象は今季起こっていて、その結果フラストレーションの溜まる試合が続いたことは記憶に新しい。
こうなった原因は、層が薄く質の低い選手層でシーズンをスタートさせたこと、そして選手の怪我が多かったこと、この2点。
前者は過渡期ということである程度織り込み済みであったとは思うが、スールシャールがビッグクラブのリーグ戦とカップ戦の過密日程へのマネジメントを多少甘く見ていた可能性も否めないとは思う。この辺りの調整は今夏の移籍市場で多少行われるのではないだろうか。
また後者に関しては、ポグバやラッシュフォードの長期離脱に関しては運がなかったと言えるかもしれないが、ショーやバイリー、ダロト、PJなど元から怪我の多い選手が今季もまた離脱率が高かったことは問題であり、スペランカー体質の選手の入れ替えをシビアに進めていく必要がある。
次はポジション別に見ていく。
GK
リーグ戦はデヘアで固定、怪我がなかったこともあり全試合フル出場。カップ戦はロメロが主に出ており、正GK第2GK共にスールシャールからの信頼は厚いのかなと。
ただデヘアに関しては今季も低調なパフォーマンスが続き、今季はブレイズで武者修行していたヘンダーソンが来季戻ってくるのかこないのかという話題はヘンダーソンが契約延長にサインをし、来季の計画がはっきりとするまではしばらく続きそうだと思われる。
RB
AWBの補強が当たっていなかったらと想像するとゾッとするほどダロトの稼働率が悪い。
スールシャールからの信頼を失ったダロトは売却が噂され、控えの序列はウィリアムズやメンサー以下のものになってしまった。ウィリアムズは両サイドの控えを担当しており、長期離脱明けのメンサーは未だ評価途中、レアードは未知数であり来季はローン移籍が予想されており、控えの補強が望まれ、控えにはテクニックに不安があるためにビルドアップで足を引っ張り、攻撃で幅を創れないAWBと異なる特徴を持った選手が好ましい。
しかしながら未だ補強の噂がないようにクラブには今夏RBを補強する考えはないように見える。これは逆サイドのLBが補強優先度として上であり、LBの選手層が厚くなればウィリアムズをRBの控えとして計算出来るということと来夏に武者修行を終えて戻ってくるレアードのためにポジションを空けておくという2つの理由があるからだと考えられ、攻撃参加に特長のあるレアードを将来の控えorレギュラー候補として見なしているのだろう。この期待に応えるため、レアードには来季ローン先で経験を積めるよう頑張って欲しい。
LB
スペランカーのショーの稼働率は5割ほどであり、リーグ戦の出場時間をウィリアムズと半々で分け合った形になった。
ウィリアムズは未だユナイテッドで求められるレベルに達しておらず、再開後のリーグ戦では未熟さを晒してしまう格好となった。アカデミーでもあまり期待されていなかったスタートからここまでトップチームの試合に出場し、喰らいついたウィリアムズの頑張りは認められるべきだがショーのスペランカー体質や最近の3バックでの起用を考えれば控えがウィリアムズだけというのは心許ない。
度々補強の噂が挙がるようにクラブにもこのポジションには補強の意思があるように思える。ダロトを売却する代わりに準レギュラークラスのLBの控えを獲得し、ウィリアムズを両サイドの控えとして計算する、これがクラブが描く来季のプランだと考えられ、補強が実現することを期待したい。
CB
マグワイアとリンデロフのコンビが堅調、多少のミスはあれどファーガソン退任後では抜群の安定感と言える。しかしその2人の控えは心許なく、バイリーやトゥアンゼベ、PJはシーズンのほとんどで故障者リストに入っており、これは出場時間にも反映されている。
スモーリング、ロホ、PJの放出が既定路線とされていることから選手層はかなり薄くなることが予想され、実際クラブも獲得に動いているように準レギュラークラスの3rdCBの獲得が必要だろう。
スールシャールは左利きのCBを求めているようだがリンデロフが任されているカバーリングのタスクを得意とする選手は少なく、その上左利きというプロフィールを持つ選手はほぼいないに等しい。とはいえ3バックの採用やビルドアップ面を考えるとレフティは必要であり、ひとまずは3番手としてリーグ戦を任せることのできる質を持ったレフティを獲得し、控えの拡充から手を付けるべき。
DM
このポジションを本職としているのはマティッチしかおらず、そのため謎の怪我による長期離脱でシーズン前半は行方不明だったのにも関わらずシーズン後半だけでこの出場時間数。元々連戦による消耗でパフォーマンスを落としていくタイプであり、年齢もベテランの域に達した選手をシーズン通したレギュラーとして計算するのは無理がある。
アカデミーでマティッチの後継者として期待されているガーナーやレビットは来季武者修行に出されると言われており、また本職でないマクトミネイをこのポジションで起用するのは大きなマイナスを生むということは今季実証済み。
とはいえコロナ禍においてマティッチの控えを用意することは難しく、あまり補強の噂も聞こえてこない。ある程度ビルドアップを託すことの出来るポグバの残留がほぼ決まったことでマティッチ欠場時には2センターで凌ぐというのが来季のプランか。
ローテーションを苦手とするスールシャールがどれだけマティッチの消耗を計算し、マネジメントを出来るか、スールシャールの監督としての手腕が試されるポジションの1つになるだろう。
CM
フレッジ、マクトミネイの頑張りによりリーグ前半戦を何とか耐えることには成功したがやはりポグバには及ばず、ペレイラに関してはユナイテッドの選手として求められているレベルにないことを晒してしまった。
フェルナンデスの加入、ポグバの復帰&残留路線により選手層はある程度の厚さを確保出来ているが少し物足りなさも否めず、選手のタイプとしても少し偏りが見られる。
補強優先度としては高くないが、チャンスがあれば補強はするべきポジション。
ポグバが契約更新にサインするかどうかで大きくプランが変わることもあり今夏は静観されるだろう。
AM
リーグ前半戦はペレイラやリンガードが求められた役割をこなせず、大きな批判を浴びていたのがこのポジション。フェルナンデスが加入してからは前半戦が嘘のようにユナイテッドの強みになったが層の薄さは課題。グリーリッシュの補強が盛んに噂されていたがヴィラの残留により沈静化してしまった。
個人的にはオフザボールに強みを持つリンガードを復活させることが一番の近道であり、プライベートで多くの困難を抱えていたリンガードをサポートする意味でもリンガードは残しておくべきだと思う。
SH
マルシャル、ラッシュフォードの長期離脱によりSHの層の薄さが目立ってしまったが、ジェームズがその穴を何とか埋め、リーグ再開後にはグリーンウッドの成長により選手層の薄さもカバー出来るようになった。
ジェームズが加入1年目でこのインパクトを残せたことにより控えとしては確実に計算出来る選手となり、さらにはサンチョが加入することで来季の選手層の厚さ、質共に大幅に向上するだろう。
スピードでの突破を得意とするタイプの選手が多く、ドリブル突破に秀でたタイプの選手がいないことにより膠着した試合でのオプションの少なさは残された懸念材料になるかもしれないがこの課題に向き合うのは来夏以降になるだろう。
ひとまずは来季以降に順位を上げていく、タイトルを獲得するためにポゼッションの高い試合でどう攻撃を構築していくかが重要になっていくと考えられ、来季は選手たちの適応やスールシャールの戦術面での整備が問われるシーズンになりそうだ。
CF
マルシャルが中央にポジションを移すも、マルシャル自身の課題や選手層の薄さ、オプションのなさ、周囲からのサポート不足などに苦しむも最終的には多くの面で改善が見られたこのポジションは今季の象徴的なポジションと言える。
フェルナンデスの加入により周囲からのサポートが増加、イガロの加入、マルシャルが自身の課題への改善の兆しを見せ始めたこと、グリーンウッドの成長etc……明るい材料を多く持ったままシーズンを終えられたのはポジティブだと思う。
しかしながら、毎シーズン月単位の離脱があるマルシャルの稼働率を考えるとイガロの活躍では足りず、そのイガロも冬までのレンタルであることを考えれば成長著しいグリーンウッドがいたとしても層の厚さは少し不安だ。
リーグ戦では途中交代で入ることの多いイガロだが、スーパーサブではなく、好機を外している印象が強い。そのためか得点が欲しい時に起用されることはあまりない傾向にあり、リーグ戦での出場時間は2ndチョイスにしては多くないと言えるだろう。
サンチョの加入によりRSHの1stチョイスではなくなるグリーンウッドが来季のCFの2ndチョイスになるだろうが若いグリーンウッドに大きなプレッシャーをかけることは避けたいと考えていることはスールシャールやクラブのグリーンウッドに対する態度から読み取れる。
マルシャルやグリーンウッドとは異なる特長を持ち、カップ戦のスタメンを任すことの出来る控え選手の獲得が期待されるが出場時間がどれだけ確保されるか不透明なところがあるために補強の難易度は少し高いように思える。このような条件下でも、今季の降格チームに所属するキングやウェルベックはアカデミー育ちの選手ということで控えを受け入れてくれるかもしれず、チームの調和を重視するスールシャールの好みにも当てはまるのでターゲットになってくると考えられる。
結び
出場時間数のデータからも前々から言われている通り、今夏の移籍市場はサンチョ以外の補強は選手層の拡充という性格が強くなると考えられる。
またコロナ禍による財政ダメージから補強資金は限られており、補強優先度や今夏以降の補強プランを強く意識したものになるだろう。
ポジション別に触れていたら長々とした全体総括に近いものになってしまったが、時間があれば来季が始まるまでにいくつか書けたらと思う。それでは。
P.S.
レポート地獄の気分転換として書いてたらレポートっぽいのが出来てしまった、、、許して、、、