ユナイテッドらしさとは、スールシャール解任の是非について
英語圏では"United way"、日本語では"ユナイテッドらしさ"というワードが最近よく見られるようになった
これはモウリーニョが守備的な戦術を採用し続けたことに対して出てきたワードであるが、スールシャールの暫定監督就任後の快進撃は"United way"や"ユナイテッドらしさ"を体現したものだと言われた
"United way"や"ユナイテッドらしさ"を求めるファンの数は多いが、これが具体的に何を表しているのかということについてはあまりファンの間でも議論されていない
具体的に何を指すのか分からないままに使い、使われ、スールシャールを褒める時に使われてたはずの言葉はいつしかスールシャールの批判する時に使われる言葉になった
ユナイテッドらしさが攻撃的なサッカーを指していることは間違いないのだろうが、それがどんな攻撃的サッカーなのかはあやふやなままでどうしたらそれが再現出来るのか何も分からない
これは個人の想像でしかないが、ユナイテッドらしさとはそれこそスールシャールが選手としてユナイテッドにいた頃のサッカーを指しているのではないだろうか
この頃の試合をリアルタイムで見たことがないのでこれまた想像でしかないが、
試合終了の笛が吹かれるまで諦めない勝利への執念やアカデミーの積極登用辺りがその頃の特徴であり、これが"United way"や"ユナイテッドらしさ"の正体ではないかと思うが、
スールシャールがこれらを体現出来ているかいないかと言えば、部分的には体現出来ていて、むしろ昨季のCLや今季のアカデミーの積極登用を見ると"ユナイテッドらしさ"を体現することにおいては"マシ"な監督なのではないか、と思ってしまう
そうなってくると"ユナイテッドらしさ"を理由にスールシャールの解任を求めるのはおかしくないだろうか
結局スールシャールが批判されているのは「勝てない」からであり、求められている"ユナイテッドらしさ"も単純に「勝つサッカー」なのではないだろうか
ここまで色々と言ってきたが、個人的にはあまり"ユナイテッドらしさ"が何であるか、という議論に興味はない
その理由はいくつかある
今、広く言われている"ユナイテッドらしさ"は時代やファーガソンの特性が色濃く反映されたもので特にマンチェスターユナイテッドというクラブの特徴の話ではないのではないかということ
クラブの環境もサッカーの在り方も大きく変わった今の世界で、その"ユナイテッドらしさ"が再現されればクラブは再建出来るのか、ということが全くもって分からないということ
クラブ再建を本当に急ぐならば"ユナイテッドらしさ"なんてものにこだわっている場合ではないのではないだろうかということ
"ユナイテッドらしさ"なんて言葉がそもそも何も意味を表さず聞こえだけの良い胡散臭い言葉であること
etc...
考えればまだ出てくる気はするがとりあえずこのくらいにしておく
ファンやフロント、監督が本当にすべきことは"ユナイテッドらしさ"を取り戻すことだろうか
僕は過去の"ユナイテッドらしさ"よりも、むしろこれからの"ユナイテッドらしさ"がどうあるべきかが重要だと思う
僕もユナイテッドというクラブを好きになった1人として攻撃的サッカーやアカデミーや若手の積極登用などの大枠は引き継いでいくべきだとは思うが、しかし細部や時代に合わない部分は更新されるべきであるし、大枠自体取り払って新しいアイデンティティを目指す可能性も検討されるべきだ
どのようなクラブを目指しているのか、何をすれば強くなれるのか、それを具体的に、長期的な視点で考え、デザインすることが1番の再建への近道であり、それを示すことの出来る人材がクラブの実権を握るべきなのではないだろうか
最後に、ここまで触れてこなかったスールシャールの解任の是非について
フロントがきちんとした長期的な計画を基にスールシャールで行くと決めたのならそれを支持すべきだとは思うが、そのフロントへの信用度は低く、長期的な計画など持ち合わせていない行動ばかりしてきた
そもそもクラブOBを理由に連れてきたスールシャールを暫定からフルタイムの監督に上げたことも、もっと言えばモウリーニョを招聘したこともきちんとした長期的な再建計画を持っていればありえない決定なのではないだろうか
スールシャールが監督の能力的にはユナイテッドが求めるレベルにないことは明らかであるが、暫定監督の候補があまりいない今、スールシャールからまだ選手の心が離れていないのなら、まずは長期的な計画を決めるためのDoFの決定をし、来季からチームを託す監督を選定するのがベストであると言える
最終順位が何であれ降格さえしなければ良い、というのは最近のチェルシーが教えてくれた
今季ユナイテッドを笑った奴らを何年後か笑えるように、今季は今まで以上に我慢の年としても良いのではないだろうか
以上